すべてはそこから始まった
会社の最寄り駅に向かう電車の中、ものすごいやる気のない自分がいた。
1週間前、私は学校を卒業した。3000円ポッキリで居酒屋で朝まで安い焼酎で吐くまで飲んで、朝まで飲んで毎日が夏休み。働く気なんて全くない。やる気なんて全くない。やりたいことなんて何にもない。これから一体、私は何をやるんだろう?今、そんな気持ちで高校以来の早起きっぷりで満員電車に揺られながら、「会社」ってところに向かっている。
ドナドナの牛の気持ちってこんな感じなんだろうか?
2年前、就職氷河期と言われた時代、なんとなく大学院に進学した。学費も学部より安いし、2年経てばきっと景気も回復してるんじゃないか?って思惑もあった。何より「毎日が夏休み」な期間を2年も延長できるってメリットはでかかった。
が、その代償は大きかった。大学院に進んで1年目、痛みの伴う改革を公約に掲げた首相が日本に登場した。同じ年の9月、歌舞伎町でスーパールーズが燃えた。その10日後にニューヨークでビルに飛行機が突っ込んだ。その後、日本というか世界の景気は、面白いことになった。
格差社会・・・そんな言葉はまだ無かったけど、少なくとも就職氷河期は、氷河期を通り越してなんとなく別世界である。「勝ち組」と「負け組」の文字が2chの就職版に踊る。同じく板を彩る企業の偏差値ランキングの嵐、ブラック企業のリスト、それらに混じって就職活動で頭がおかしくなった奴の破滅した書き込みが板にアクセントを加える。
そんな中、割と偏差値が高めの大学の理系院卒という肩書きでゲットした内定。サークルの文系の後輩が早々に資格受験に走る中、余裕綽々の内定ゲット。
まぁ、SE採用だけどな。。。
でも、理系だって就活が楽だったわけではない。超買い手市場の中では、学歴、資格だけでは就職できない。理系の人間がたいてい欠けている能力・・・・コミュニケーション能力がネックで後にNEETと言われる人になる奴もたくさんいた。
2chの偏差値ランキングでは割と上位!
情報システム板では上流工程!!
ブラックかホワイトだとグレー
それだけが救い!!
「SEは負け組み」そんな言葉に異常なまでに反応しながら耐えた1年間。
外食はブラック
営業系もブラック
PGはIT土方
EPR系はソルジャー採用
俺最高!!上流工程SE万歳!!
そんな経緯と気持ちで望んだ今日という日、気持ちは乗らないが、新しい日々が始まる。
なんだかんだ重い足取りで向かった入社式の会場で、わらわらと似合わないスーツに身をくるんで集まる”同期”という人たちと戯れる。
内定式などでなんとなくわかってはいたけど、、、、同期・・・多いな。
「イヤー、儲かってる会社は違うねぇ」という前向きな解釈とは裏腹に「これってソル・・・」という不安がよぎる。でも、ここってSI業界の中では割と金払いがよいといううわさの会社だ。同期の中にはすでにローンで車を買った奴もいるらしい。
そんな不安(の方が大きいが)と期待を抱えたまま入社式というイニシエーションが始まった。
やたらと緊張感が流れる中、人事と思しき人のプルプルした司会が始まる。式次第の読み上げで噛みまくる・・・・。大丈夫か?その司会者が丁重に式辞を述べる社長の名前をプルプルしながら読み上げる。その声に反応して、社長が壇上に上がる。
そして、やんごとなき趣と髪型に特徴のある社長の式辞が始まった。
チッ!!
そしてすべては”舌打ち”から始まった。。。。
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